理と情

2020-02-06

 夏目漱石の「草枕」の冒頭にある有名な文章に「知に働けば角が立つ、情に棹させば流される、意地を通せば窮屈だ、とかく人の世は住みにくい」とあるが、明治の頃の人間関係は厄介だったことを感じさせる。

 理とは、論理、道理、知性、理性等。情とは感情、人情、心情、感性等の事。理も情も大事だが、そのバランスが重要なのだと思う。

理が勝ち過ぎると、杓子定規、融通が利かない、石頭、血も涙もない等と言われる。情が勝ち過ぎると、感情的、筋が通らない、情に流される、好き嫌いが激しい等と言われる。

 物事を受け止める、考える、発信するという行為を常に行っている中で、その人の傾向が表れ、論理的なタイプ、感情的なタイプという様な印象を与える。頭(理)で理解しても心(情)で納得していない感情が優位に立っている状態もよくある事だし、脳に訴える論理情報化より気持ちに訴える感性情報化が効果的な場合も多いから、論理的(合理的)であれば良いという程、世の中単純ではない。

 問題やトラブルの発生しない組織は無いが、チームのリーダーやマネジメントの役を担うようになると、大なり小なり問題に対する対応や解決に迫られる。問題やトラブルの発生は平常時ではないストレスに身を置く当事者になるので、現場発想的な狭い視野と当事者的な感情に流せされ易く「理」より「情」の濃度が高まるので、未熟なリーダーは感情が優位に立った対応に陥りやすい。当事者であっても他人事であるかの様な感情移入なしの冷静になる回路を身に付け、本質を見極め論理的で筋の通った対応が出来るようになると、リーダーとしての信頼を増やすことができる。

 「理」を通すことが本筋であるが、それだけでは血の通った人間味が失われてしまう場合もあるので、論理だけでは割り切れないものを「情」を加えて補う。「理」と「情」のバランスは「理」が8割、「情」が2割位と思った方が解りやすい。あくまでも「理」が主で「情」が従の関係でなければ客観性を失い、非情であっては人の心に届かないというのが「理」と「情」の難しいところだ。

ある創業者は「COOL HEAD(冷静な頭脳)」と「WARM HEART(温かい心)」が口癖で、元祖「COOL HEADとWARM HEART」と交流があった方に確認したところ、COOL HEADとWARM HEARTは、車の右輪と左輪の両輪のごとく大事という大意であることが判明したのであるが・・・料理に例えると、食材だけでは料理にならないので調味料が必要な様に、また、調味料だけでは料理にならない様に、COOL HEAD(理)が食材でWARM HEART(情)が調味料にあたるバランスなのではないかと、私は独自な解釈をしている。

 

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